導入事例 株式会社ジャストメディクス様

CASE32

経営主導で取り組む調剤業務の合理化

愛知県一宮市
在宅応需 地域密着 多店舗展開
取材日:2017年04月

ますます厳しくなる薬局の経営環境。地域住民から求められる薬局像を目指し、経営主導で調剤監査システムauditを導入した「株式会社ジャストメディクス」。『モノから人へ』の比重を高めつつある現場で、auditは調剤業務の合理化に貢献している。

代表取締役 都築 健 様
くすのき薬局野口店
薬局長 髙木 翔 様

患者様の満足度は薬剤師とのコミュニケーションにより高められる

清々しい朝、通りの喫茶店に立ち寄りモーニングを楽しむ。今や全国的に知る人も多い愛知県の「モーニング」。県下に根付く庶民の食文化だ。かつて紡績・繊維産業の一大中心地であった一宮市。職工や商人が工場の喧騒を避け喫茶店で打合せをする習慣が浸透しており、店主が常連客にゆで卵やピーナッツをサービスした事が発祥と言われている。現在ではモーニングを目当てに同地を訪れる観光客も増えており、新たな観光資源として期待されている。株式会社ジャストメディクス(代表取締役 都築 健氏)は同地で地域に根ざした調剤薬局を展開している。

公立病院で技師として勤務していた都築氏。2002年に旧知のドクターが一宮市内でクリニックを開業するのに合わせ、その門前に第一号店舗「くすのき薬局」を開局した。それから15年、現在では一宮市内を中心に8店舗(2017年4月時点)を展開している。同社は在宅支援薬局を目指し、地域との関わりをとても大切に考えている薬局でもある。

受付と投薬カウンター

「患者様は病院へ行き、ついでに手近な薬局で薬をもらうだけ」と同氏は立地や病院に依存した薬局の現状を問題視する。薬局の経営環境が厳しくなる中、こうした依存体質の薬局が真っ先に淘汰される。薬局経営者には、自立した薬局の経営ビジョンを持つことが求められていると同氏。「薬局は処方箋を持った患者様にのみ目が向きがちだが、処方箋を持たない健康な地域住民にとっても『気軽に行ける健康相談所』であるべきだ。その為、日頃から薬局が『地域の家々』とつながり、そこに薬局が存在する必然性を地域住民に感じていただくことが重要だ」と同氏は語る。続けて「薬局がさまざまな健康の相談窓口となることで、患者様の状況を見極めて適切な医療機関を紹介することもできる。結果的に、単にかかりつけ薬局として選ばれるのではなく、医療の窓口として地域住民にとって本当に必要な存在になれる」と力説する。同氏は薬局の持つ可能性を踏まえ、将来の薬局像を見据えていた。

同社では『地域の家々』とつながる地域に密着したサービスを実現する為、当初1ヶ所に集約していた在宅調剤業務を各店舗に分散したという。在宅業務は集約した方が効率的で、大規模施設への対応も容易であったが、近所の患者様に密着して対応する事で、薬局が身近にあるメリットを感じてもらえることや、店舗薬剤師のコミュニケーションスキル、知識の向上が図られることを期待し分散に踏み切った。在宅業務で得た知識を活用し、近隣住民向けに認知症対策のセミナーを実施するなど地域住民との関わりを深めているとのことだ。

「薬剤師は調剤業務のみに集中している方が楽だろうが、患者様の実際の満足度は薬剤師との密度の濃いコミュニケーションにより向上するものだ」と同氏。限られた時間の中で、薬剤師が患者様や地域住民とのコミュニケーションに集中するには調剤業務を合理化する必要があった同社。散薬の自動調剤ロボット等を積極的に導入し、合理化を推進している。中でも複数薬剤師が確認してもなかなかミスが無くならない調剤監査業務は、システム化による改善が最適と考えていた同氏。各種監査システムを比較検討した結果、auditの導入を決定した。調剤過誤リスクは経営的に重要な課題であり、現場が抱える先入観より経営者としての考えを優先したとのことだ。

同システムの運用が始まると、薬剤師からもauditの効果を実感する声が多数あがったという。「くすのき薬局野口店」薬局長の髙木 翔氏は、「誰がやっても精確に調剤できる仕組みが出来上がり規格違いのミスもなくなった」と語る。『モノから人へ』の比重を高めつつある現場で、auditは調剤業務の合理化に着実に貢献している。同社では今後も調剤のシステム化を進め、患者様とのコミュニケーションを強化していく方針だ。

auditを使用する髙木氏

同社の社名は「just:正しくまっすぐな」、「medi:医療・薬」、「ks:感謝」を使った造語だ。「正しくまっすぐな心で医療に取り組みたい。感謝の気持ちを持って医療に取り組みたい。そして、患者様から感謝されるような心のこもった医療がしたい」という強い想いが込められている。「今は薬局の魅力で患者様に選んでいただいている訳では無い、だから感謝する以外に無い」と同氏は謙虚に語る。しかし、地域に密着した取組みを通し、ジャストメディクスは着実に患者様に選ばれ、地域に必要とされる薬局へと進化し続けている。